02年度は主に、(1)特別土地占有プラン(POS)の詳細化のパリ市役所研修レポートの邦訳とその欠落の補填、さらに(2)協議整備区域(ZAC)のインフィル型都市計画化の基礎的調査をすることを交付申請書に記述したが、00年から施行された「都市連帯・再生法(Loi SRU : Loi relative a la Solidarite et au Renouvellement Urbains)により、市民参加の重視等、都市計画の策定の枠組みが大きく変わったため、(2)の調査は次年度に回し、(1)の土地占有プランの詳細化と都市連帯・再生法の調査に重点を置いた。 具体的には、(1)に関しては、99年のパリ都市計画アトリエに於ける研修時のレポートの邦訳と補完調査を行った。新たに得た情報としては、99年時点で8例あった特別土地占有プランの数自体に変化はないが、新たに2プランが議会の承認を受け発効し、また住民団体の訴訟によって一審敗訴していた1プランが、二審(フランスでは行政裁判は二審制なので最終審)に逆転勝訴した点を把握することができた。 都市連帯・再生法に関しては、文献調査が主となった。本法は00年12月13日に制定なため、ようやく適用が開始され、それに伴う雑誌論文が数多く発表され、また単行本の解説書も多く見られるようになり、本年は渡仏調査時にそれらのコピーや購入に追われた。とはいえ、そのうち02年3月の私費渡仏時と、同年6月の科研費による渡仏時の掌握文献に関しては殆ど全て読破し、寺西俊一一橋大学教授の主催する環境再生研究会で「フランスの2000年都市連帯・再生法と1990年代のパリ市の先駆性」という演題で口頭発表した。
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