本研究では、北海道内における5万人未満の自治体を対象とし、(1)居住動向調査による「過疎化メカニズム」の解明、(2)自治体再生に向けたまちづくりの実態分析、(3)まちづくりの評価システムの構築、を目的としている。 2年度目である平成15年度は、上記(1)と(2)を実施した。 (1)では、北海道内196自治体を対象に実施したアンケート調査(平成14年度実施)に基づいて、前年度に実施した分析を発展させるかたちで分析を継続した。まず、自治体を「中核都市」「周辺自治体」「自律都市」に分類し、一中核都市を中心とする37地域圏の存在を明らかにした。更にこれらを中核都市同士の関係から19広域圏に整理した。 広域圏毎の人口推移を分析した結果、札幌市等の大都市を中核とする広域圏でも、二次構造以下に属する周辺自治体では著しい人口減少が見られること、小規模な中核都市であっても、2以上の中核都市が近接する場合は、広域圏全体の人口は一定程度維持されていること、等が明らかになった。 (2)のまちづくりの実態分析では、現在、北海道で実施されている「第3次北海道長期総合計画」における「パートナーシップ計画」の40プロジェクトを対象に、複数自治体に跨がる「広域まちづくり」の実態を、(1)で明らかにした「広域圏」との関係から分析した。 その結果、北海道における広域まちづくりは、従来からの広域行政圏を基準にした計画が大半を占め、実態としての広域圏とは整合しない領域において事業展開がなされている現状が明らかになった。
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