研究概要 |
京都市都心部を対象とした自動車交通量,歩行者交通量,公共交通サービス水準といった交通関連の変数データ,及び商業集積パターン,町並み景観パターンといった商業関連の変数の把握を行い,既往研究において構築した関係構造モデルの精度向上と変数の拡充が図られた。これにより,自動車交通の細街路への進入が買い物客の減少と商店街としての賑わいの減退を招いている,換言すれば自動車交通の進入抑制により買い物客の増大と商店街としての賑わいの増進を図れるという関係構造が数値データとして明らかになった。またこれらの自動車交通抑制の効果は,一定の商業集積をもち,かつ歴史的建造物とそれらがつくり出す歴史的町並み景観を有する商店街において一層高まるという関係を明らかにした。 以上の構造モデル分析結果から,一定の商業集積をもち,かつ歴史的建造物とそれらがつくり出す歴史的町並み景観を有する商店街にプライオリティを付与しつつ,自動車交通の進入抑制策(商店街のモール化)と町並み景観整備(歴史的建造物の店舗等としての再生,隣接建物等の修景整備等),これらの商店街への公共交通サービス水準の向上などからなるパッケージ施策を戦略的に展開することの必要性が明らかになった。 また,欧州調査(ストラスブール,フライブルグ,バーミンガム,ヴェローナ,ボローニャ,パルマ等を訪問調査)により,これらの戦略的パッケージの実質的な効果と展開方策の実例を収集し,来年度における有効性をもった戦略的パッケージ確立の材料を整えたところである。
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