2002年度研究実績については、現地調査を実施し、チョデ・カンポン、RMKについて80年代以降の改善経過、中心的建築家グループの活動内容、現在の住民属性・行動観察・近隣関係・住宅改善意識調査等を通して、ジャグジャカルタ市のカンポンの一側面を明らかにした。現時点で得られた結論は以下の通りである。 1)70年代までスクォッターエリアであったチョデ・カンポンはRMの抵抗運動、学生らをも含めたRMGによるボランティア改善運動を契機として、洪水域の官民共同堤防建設運動へと発展し、住民の居住権認知の方向に繋がってきた。 2)RMKは現在でもセントラル・ジャワ出身者を中心に構成された高密度・狭小居住・低学歴地区であるが、RM活動後の若年層には就労・所得面で改善傾向が現れている。 3)コミュニティー活動は住民間・世代間の議論の場として維持されており、共同体意識・付合い度も高く、RT長がその中核を担っている。一方、ゴミ収集システムの確立とトイレ・調理スペース整備が必要な状況にある。 4)RMG設計建物はスラバヤ・ウジュン・レベルの狭小さとインフラ未整備状況が明らかである。住居類型では1室型を中心に3室以上の住居まで平均的に存在し、KやLの増築が前面に行なわれる傾向が見られる。 5)住居改善履歴と意向では、修繕と増築が同等に行なわれており、自主的な改善意識も高くなりつつある。一方今後の改善ではテンボッ壁が主体となることが予想される。 6)居住環境に対する満足度の高さと定住化は、住民の自主的な住宅改善意識と一定の関係がある。
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