本研究の3年計画の2年目にあたる平成15年度は、前年度に引き続き、インドの中世ヒンドゥー宮殿の現地調査を実施した(平成15年12月20日〜平成16年1月10日)。現地調査にあたっては、グワーリオール市のジワジ大学シャルマ氏の配慮のもと、マッディヤ・プラデーシュ州政府考古局および博物館からグジャリ・マハル及びジャハンギール・マハルの調査許可及び実施にあたっての配慮を得た。その現地調査の成果として、次の3点が挙げられる。 (1)15世紀後半に建設されたとされるグジャリ・マハール(現州政府考古博物館)については、前年度は予備調査を行うにとどまったが、今年度はその基準階平面の実測を実施し、壁・柱の配置に関わる寸法を把握するとともに、現在までになされてきた改造部分の把握を中心に、建設当初の状況を詳細に把握した。 (2)オルッチャにある17世紀に建設されたジャハーンギール・マハールの平面構成(プランおよび用途)の調査および基準寸法の計測、構造体や壁画等の遺構残存状況の把握を野帳作成し、写真撮影を行った。 (3)インドの文化遺産保護のNPO組織であるIndian National Trust for Art and Cultural Heritage (INTACH)を訪問し、当組織によるオルッチャの建築遺産(町並みを含む)全般について行われた過去の調査成果に関する資料、およびジャハーンギール・マハールに関わる調査資の写しを参考質料として入手した。 また、平成16年度調査(ラージャスターン州チットールガルにあるラナ・クンバ・パレス)実施に向けて、ジワジ大学でのアドバイスを受け、かつ遺構管理をしているインド考古局の研究者との調整も今年度調査時にあわせて行った。
|