研究概要 |
ゼオライトの細孔が表から裏まで貫通した形態の単粒子層配向ゼオライト膜を作製すること,ゼオライト粉末を用いて、その細孔内への機能性有機分子のインターカレーションについて検討すること,ゼオライト単粒子層配向膜に機能性分子をインターカレートして、その物性を評価することが、当該研究の目的である。今年度は最初の2つの項目について検討した。まず、二次成長法によるMFI型ゼオライト膜の作製を検討した。最大表面にゼオライト細孔が垂直となる形態の粒子を調製し、その粒子をガラス基板上に塗布した。このとき、粒子の最大表面が基板表面と接するように吸着すれば、基板表面に対してゼオライト細孔が垂直になる。このような配向塗布に適した粒子は、アミンを塩基として用いて調製したケイ酸水溶液を、水熱処理することにより得られた。これは、アミンとケイ酸の酸塩基反応により、ケイ酸イオンの過飽和度を制御することで、適切な結晶核生成と粒子成長の条件が得られたと考えられる。この粒子の水懸濁液をディップコーティング法によりガラス基板上に塗布した結果、緻密で配向した単粒子層として塗布できた。塗布した粒子の二次成長による膜化については現在検討中である。次に、MHI型ゼオライトの粉末を用いて、その細孔内へのパラニトロアニリン(以下、p-NAと略す)の吸着についで検討した。これは、ゼオライトとp-NAの混合粉末を減圧下で加熱することにより行った。その結果、p-NA分子は、ゼオライト粒子表面より細孔内に優先的に吸着することが分かった。また、MFI型ゼオライトはストレート細孔とジグザグ細孔の2種類の細孔をもっが、それらの細孔の交差する部分にのみ、p-NAが吸着することが分かった。ここで得られた知見より、ゼオライト単粒子層配向膜のゼオライト細孔内にp-NAをすると、優れた非線形光学特性が得られることが予想された。
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