本研究の目的としては、高分子のマトリクスの中にカーボンナノチューブ(CNT)が最適な量比で均一に分散させ、高分子鎖が配向すると共にCNTも延伸方向に配向させることと複合材料の表面に導電性粒子を合成し付着させることにより、高強度高弾性率を有する導融材料を開発する。 平成14年度、ゲルー結晶法を用いて、カーボンナノチューブをポリマー(超高分子量ポリエチレン・ポリアクリルニトリルなど)に混入し、高強度高導電性材料の開発をしている。作成したカーボンナノチューブと超高分子量ポリエチレンの複合ゲルフィルムは100倍まで延伸でき、延伸方向のヤング率は室温で50GPaとなり、電気伝導度が10^<-2>S/cmとなった。この研究結果により、本研究で開発された超高分子量ポリエチレンとカボンナノチューブの複合材料は、現在普通に使用している導電性テープより力学特性は十倍から数十倍の強度を持ち、150℃まで電気伝導度はほとんど変化しないことが確認した。また、カーボンナノチューブとポリアクリルニトリル(PAN)のブレンドゲルフィルムを先駆体として、熱処理による安定化と炭素化、黒鉛化を行った。熱処理段階での構造と物性を検討した結果、カーボンナノチューブの添加により、(002)面の成長はより早く進んでいることが確認できた。このことより、従来のPAN系カーボンファイバーはより低い温度で生産できることを期待している。また、フェロセンを用いて、カーボンナノチューブの表面修飾を行い、カーボンナノチューブ表面ヘシクロベンタジエニル基を導入できた。さらに、官能基を付加させたカーボンナノチューブをポリマーにグラフチィングすることにより、機能性複合材料の開発を検討している。
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