研究概要 |
ニオブ基合金は高融点で、高温強度に優れていることから、将来の超高温用構造材料として期待され、研究されている。このニオブ基合金の耐酸化性は1000℃以上で非常に悪いため、高温大気中で使用する際は耐酸化コーティングが必要となる。しかし、コーティング層と基材間の熱膨張係数の差からクラックの形成が起こり易く、また基材との相互拡散によるコーティング層の劣化が起きやすいため高温大気中で長時間使用可能なコーティングは未だに開発されていない。本研究では、今年度まず昨年度放電プラズマ焼結法+パックセメンテーション法を用いて得られた、1400℃で優れた耐性を示すMoSi_2-SiO_2/B添加Mo_5Si_3-SiO_2二層コーティングが減圧プラズマ溶射法+パックセメンテーション法で作製可能か確認する実験を行った。その結果粒径2μmあるいは-45μmの5wt%SiO_2粉末をB添加Mo_5Si_3粉末に混合して溶射するとSiO_2相の体積比が、特に前者でかなり減少してしまうことが明らかになった。これは基材に到達前SiO_2粉末粒子が軽いために基板外へ飛んだかあるいは気化してしまったためではないかと予想される。またSiO_2相を含まない形式でB添加Mo_5Si_3層をコーティングした場合、コーティング面積が大きくなると一部コーティング層の基材からの剥離が見られることが分かった。この原因としてB添加Mo_5Si_3層とNb基材の熱膨張係数の違いによる熱応力の発生が考えられる。平成16年度は直接溶射でB添加Mo_5Si_3層をコーティングするのではなく、まず溶射法あるいはPVD法(下記のスパッタ装置)でMoあるいはMo-B二元系合金をコーティング、次にB、Si、Al等の拡散処理を行う方法でコーティング層の密着性の改善を試みる予定である。またMo(Si,Al)_2/Al_2O_3二層コーティングについては、溶射法のみでは薄いAl_2O_3層の形成が難しいことから平成15年度末研究代表者が所属する研究グループに設置されたスパッタ装置を用いて上記コーティングを試みる予定である。
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