平成14年度の研究実績 1.陽極接合界面模擬試料の作成法、その試料からの透過型電子顕微鏡用試料の作成法の確立 ガラス板上に真空蒸着、もしくはRFスパッタを用いて金属層を堆積した試料を用い、これに電圧を印加して実際の陽極接合界面の模擬試料を作成する手法、及びこの方法で作成した試料から、アトムミリング装置、またFIB装置を用いて透過型電子顕微鏡用の薄膜試料を作成する手法を確立した。上記の方法で作成した模擬接合界面において、実際の陽極接合界面で観察されるのと同様の元素偏析や界面反応生成物が生じることを組織観察で明らかにした。 2.アルミニウム/ガラス陽極接合界面組織形成の初期過程の観察 アルミニウム/ガラス接合界面組織の形成過程を詳細に観察し、界面に生じる酸化アルミニウム反応生成物の成長様式を明らかにした。この結果と以前の実継手の観察から得られた結果から考察を加え、アルミニウム/ガラス陽極接合界面組織の形成過程のモデルを提案した。さらにFIB装置を用いて接合初期段階の界面の透過電顕試料を作成し、接合初期の界面構造が提案したモデルと矛盾しないことを観察した。 3.アルミニウム/ガラス陽極接合界面への逆電圧印加の影響の観察 アルミニウム/ガラス模擬陽極接合界面へ接合時と逆方向の電圧を印加し、界面の組織の変化、接合界面への元素偏析を観察した。予め接合電圧を印加した試料では、逆電圧の印加で生じる界面へのナトリウムの偏析が抑制されることが見出され、接合時に生じる酸化アルミニウム層が界面へのナトリウムの析出を抑制することが示唆された。
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