研究概要 |
ガスタービンやごみ焼却炉などの高温機器・プラントに使用される耐熱鋼および耐熱合金には、高温下での優れた機械的性質のみならず、使用環境温度の上昇に伴う激しい腐食反応や酸化摩耗に対する抵抗性能の向上も望まれている。しかしながら、これらのことを単一の材料で両立することは困難であるため、素材表面を何らかの手段でコーティングし、基材と被覆層で機械的強度と耐食性・耐酸化性を個別に分担させて使用する方法が推奨され、現在様々なコーティング技術が実用化されている。本研究では、基材として炭素鋼を、被覆層としてチタンアルミナイド(TiAl)を想定して、(1)両者の界面反応、(2)衝撃プロセッシングによる複合化技術の2点について検討した。 (1)炭素鋼とTiAlの界面反応:両者の接合界面は基本的にTiAl側から(a)Ti,Al,Feから成る反応層、(b)TiCを主体とする反応層、(c)α-Fe層から構成されており、特に(b)や(c)は鋼中の炭素濃度が高い場合に形成された。また両者の接合強度は20〜60MPaと全体的に低い値であった。このような低強度は反応層生成に起因すると考えられたため、インサート材として純チタンを用いて、界面反応の抑制による特性改善を試みた。この結果、接合強度は150MPa以上に大幅に改善されるとともに、鉄鋼との界面にはAlに起因した反応相は認められなかった。さらに、このような組織状態は900℃で25h保持した場合にも維持されており、チタンのインサートにより良好な複合化が可能であることが明らかになった。 (2)衝撃プロセッシングによる複合化技術:衝撃エネルギーを利用したTiAlと鉄鋼の複合化を試みているが、良好に接合できない状況が続いている。水中衝撃波など、新たな衝撃プロセッシングの適用も含めて、今後継続して検討する予定である。
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