研究概要 |
前年度までの研究で,水溶液中での疎水性物質の乳化・結晶化をコントロールする2つの物理化学的に異なる溶解度の存在を推算し,さらにその場観察でそれらを確かめた.また,希薄に疎水性物質が溶解している水溶液からの晶析実験によりナノメーターサイズの結晶粒子の生成をAFMにより観察できた.よって,この方法は希薄なゆえに結晶核のまま大きさを制御できる優れた操作であると考えられた. 今年度は,水溶液中の疎水性結晶のサイズをDLSにより直接測定し,さらに結晶サイズの動的変化を観察した.その結果,疎水性物質の希薄溶解度の濃度領域により結晶粒子サイズが異なり,より低温で希薄な濃度領域では結晶核が生成するが,高温の希薄溶解度領域では,エマルション(クラスター)が観察された.これらのサイズに対する操作因子(エタノール濃度,温度,時間)の影響を整理している.さらに,熱分析によりナノサイズの構造物の熱的測定を進めている.次に,分子シミュレーションの結果では,混合飽和脂肪酸の挙動がシミュレートされ,実測値の相図とほぼ一致することが分かった.水溶液での希薄な飽和脂肪酸挙動と核とクラスターの違いについて現在進めている.
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