研究概要 |
ミクロンオーダーの粒径分布の均一な単分散性微粒子は,液晶ディスプレー用スペーサなど様々な用途に活用されており,さらにその用途の拡大が期待されている。既往のミクロン単分散性粒子の合成には有機溶媒を利用した分散重合法があるが,溶媒の回収や生成粒子の純度低下など工業的な間題点がある。本研究者は水を溶媒とした環境適合型の簡易な粒子製造法を提案した。この方法は重合中の粒子表面電位を制御し,粒子間の凝集を促進して大粒子化を図り同時に粒径分布の単分散性化も図ろうとする従来にはない新しい手法である。従来,粒子を凝集させると粒径分布が広がると考えられがちであったが,適当な条件を選択すると大粒子に比べて小粒子が分散不安定で,凝集の過程で単分散性化が図れることが判明した。このような操作は,ソープフリー重合系に両性開始剤を用いることで達成することができる。 研究では、モノマーはスチレンを、両性開始剤はVA-057を用いて検討を行なった。両性開始剤の使用により、粒子表面に両性イオン基を導入し、その解離状態を溶液のpHにより調整することで粒子の表面電位を制御した。反応温度、開始剤濃度、pH等の反応条件を変えて生成粒子の粒径分布との関係を調べたところ、適当の反応条件を選択することで、一回の重合操作で3μm以上の高分散性のポリマー粒子の合成ができる。この重合法は、界面活性剤等の分散安定剤を添加せずに粒径制御を行う環境適合型で,かつ一段階の簡単な操作で純度の高い粒子を合成得るものであり、環境適合型ポリマー粒子新製造プロセスとして応用することが期待できる。
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