硝酸から亜硝酸を高選択的に生成する触媒としてCuPdコロイド触媒について検討を行った。CuとPdの組成により活性は著しく変化し、Cu:Pdが2:1あるいは1:1のとき90%と高い活性を示した。NO_2選択性は組成によらず高く、Cnの存在比が高いコロイドほど高選択性であった。活性と選択性の両面で最も優れているCu_2Pdにっいて調製法の影響を調べたところ、グリコール還元により高い活性と選択性が得られることが分かった。 亜硝酸を高選択に窒素に転換する触媒の探索および選択性支配因子の解明を行った。SiO_2は、反応中に溶液がアルカリ性になることにより溶解するが、CO_2を導入し溶液をほぼ中性にすることにすることにより溶解を抑制することができた。担体による選択性の比較したところ、ZrO_2や活性炭(AC)などに比べ、SiO_2系の触媒が高い選択性を示すことがわかった。XRD測定の結果、ACに比べSiO_2上には水素化能が小さいとされるサイズの大きいPd粒子径が生成し、N_2選択性が向上したと考えられた。SiO_2の中ではAEROSIL300(278m^2/g)が最も選択性が高く、窒素選択性は84%に達した。ラマン分光によりSiO_2上のPd粒子について詳細に検討したところ、AEROSIL300では他のSiO_2に比べよりさらに大きなPd粒子が存在することが明らかとなった。SiO_2系の担体であるSiO_2-Al_2O_3ではさらに選択性は高く90%を超えた。今後、Tiなどの金属とSiの複合酸化物を用いることにより更に高選択的な触媒を設計することができると期待される。 また、反応中N_2Oの生成が見られたが、逐次的にN_2へ変換できることを見出した。N_2Oからは選択的にN_2へ転換されるため、この反応ルートで優先的に反応が進行するような触媒が開発できれば、より高選択的な処理技術となりうる。
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