研究概要 |
実施した研究概要 光触媒の能を有するオゾン分解触媒(ODC)であるTiO_2/ODC触媒の開発のため、まず触媒評価用の実験系を構築し、次にODC、TiO_2単体とこれら混合触媒について、各種条件で触媒能の調査を行った。 得られた成果 反応器中央にUVランプ(主波長365nm,出力6W)が設置された円筒型流通式反応器を作製し、その直下にそれぞれ触媒を0.5g入れた蒸発皿を2枚並べ、実験ガス(トルエン、オゾン)を導入することで、これらの除去率、CO_2への完全酸化率から触媒の性能試験を行った。実験に用いたODCおよびTiO_2の比表面積は、それぞれ112.6m^2/gと51.0m^2/gであった。 ODCとTiO_2の混合割合は、さほど触媒活性に影響を与えなかったことから、1:1混合触媒を用いることとした。暗条件において、オゾン1ppmのときのオゾン除去率はTiO_2も混合触媒もODCとほぼ同程度の除去率を維持できたが、ODCが存在しない触媒でのトルエン除去率は著しく低下した。暗条件におけるトルエン分解は、ODCによるオゾン分解活性種とトルエンの反応によるものと考えられるため、TiO_2表面上ではトルエンとオゾンの吸着サイトが異なり、生成したオゾン分解活性種とトルエンが接触しにくいためと推察した。効果的に光触媒反応を利用するためのUV光照射条件では、ODC、TiO_2単体でも混合触媒でも十分高い除去率が得られ、特に混合触媒ではTiO_2と近い値まで活性が向上し、TiO_2が効果的に働いていることが示唆された。さらに、分解したトルエンが完全酸化した状態であるCO_2への転化率を測定したところ、暗条件のODCとUV光照射時の混合触媒は約2倍のCO_2を生成した。したがってUV光を照射して混合触媒を用いることでよりクリーンな触媒となる可能性が示唆された。また、実大気条件に近い加湿系においても、ODCのトルエン除去率が著しく湿度影響を受けるのに対し、TiO_2を混合することでトルエン除去率の減少を抑えることができた。以上より、暗条件、UV照射条件、加湿条件においても、ODC、TiO_2を単体で用いるのではなく、混合触媒として用いることで有効な機能性触媒が調製できる可能性が示唆された。
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