メソ孔シリカをはじめとする各種担体にTiのEDTA錯体の担持を行い、さらにシリル化による表面の疎水化処理を行った。アモルファスシリカを担体とした場合(以後、Ti/SiO_2と記す)には、担持操作により比表面積が著しく減少し、UV、Raman測定より、アナターゼ型のTiO_2が確認されたことから、高分散に担持することは困難であると推測された。一方、三次元構造を持つメソ孔シリカ(MCM-48)を担体とすると、錯体担持、表面のシリル化処理を行っても細孔構造、高比表面積を維持しており、Tiが高分散に担持されたことが確認できた。各種Ti担持シリカを触媒として、H_2O_2を酸化剤とする希薄水溶液中の含塩素有機化合物(クロロフェノール)の分解反応を行ったところ、無触媒及びTi/SiO_2と比較して、MCM-48を担体としたTi/MCM-48、Ti/MCM-48にシリル化処理を行ったTi/MCM-48-silは共に高活性を示した。特に、Ti/MCM-48-silを使用することにより、活性の著しい向上が見られた。この理由を明らかにするためにクロロフェノール希薄水溶液中で吸着実験を行った結果、Ti/MCM-48-silにおいて、極めて特異的にクロロフェノールのみが吸着されること、かつ、その吸着量が30wt%以上であることが見出された。また、いずれの担体においてもTiの担持によりクロロフェノールの吸着がわずかながら強まること、メソ孔シリカを担体とすることにより吸着量が増加することも明らかとなった。以上より、メソ孔シリカへの活性点担持方法及びその触媒作用について以下の知見を得た。 1.メソ孔シリカに活性点を高分散に担持できる方法(錯体含浸法)を確立した。 2.希薄水溶液中の含塩素化合物の分解反応において、触媒表面の疎水性の制御により、疎水性基質の選択的吸着が可能となり活性の向上に寄与することを明らかにした。
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