チタニア(TiO_2)はアンモニア脱硝触媒の担体として用いられている。近年、さらなる性能の向上や、より制約された条件下においても十分な特性を示すことが要求されている。本研究では、TiO_2に対し、有機官能基を有するシランカップリング剤による化学修飾を行い、シラン剤修飾が担体TiO_2の熱安定性やメタバナジン酸(VO_3^-)の吸着特性に与える影響について詳細に検討し、VO_3^-を吸着したシラン剤修飾担体TiO_2から調製したバナジウム系触媒の脱硝特性についても評価を行った。 用いたTiO_2は大表面積(300m^2g^<-1>)を有しているが、耐熱性は低く550℃で焼成すると表面積は著しく減少した。TiO_2に対して、アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)あるいはアミノ基を二つ有するシラン剤(DAPS)処理を施すことにより、その耐熱性は劇的に改善された。シラン剤に由来するケイ素によりTiO_2のシンタリングが抑制されたために、耐熱性が著しく向上したと結論した。また、シラン剤中のアミノ基の効果により、VO_3^-の吸着量は未修飾TiO_2に比べ大きく向上した。吸着したVO_3^-と修飾担体上のシラン剤のモル比は1.0および1.6となり、VO_3^-はアミノ基のプロトン化で生じたアンモニウム基と塩を形成して、TiO_2担体上に分散固定化されていると考えられる。さらに、この触媒前駆体を熱分解させて得られた酸化バナジウム触媒は、修飾担体の高い熱安定性を反映して大きな表面積を維持していた。その脱硝活性は未修飾担体を用いたものに比べ優れており、大表面積化および担持量増加が脱硝活性に対して正に作用し、とくに、DAPSで最良の脱硝活性が得られ、ジアミノ基の導入が効果的であることが明らかになった。
|