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2002 年度 実績報告書

機能付与による、細胞療法・再生医工学のための有用動物細胞株の創製

研究課題

研究課題/領域番号 14750635
研究機関福井大学

研究代表者

寺田 聡  福井大学, 工学部, 助手 (60311685)

キーワード人工肝臓 / アポトーシス / bcl-2 / p35 / crmA / チトクロムP450 / 温熱 / 人工膵臓
研究概要

バイオ人工肝臓(BAL)は、これまでに多くの研究者によって装置の形状・培養方法などが研究され、高機能なものがいくつも提案されているが、未だに肝疾患の完治まで補助できるものは完成していない。我々は、装置内の細胞死(アポトーシス)に着目し、これを抑制することでBALの運転期間の延長と細胞あたりの肝機能を向上させ、結果装置全体の機能向上ができないかと考えた。そこで、ヒト肝ガン細胞株HepG2にアポトーシス抑制遺伝子bcl-2、crmA、p35を導入した細胞株の樹立を試みた。
アポトーシス抑制遺伝子導入による温熱処理後の生存率については、処理6時間後に測定したところ、野生株は2.8%とほぼ死滅していたのに対し、p35導入株では26.5%、crmA導入株で16.3%、bcl-2導入株で7.6%であった。
次に、各導入株の肝機能として、チトクロムP4501A1によるエトキシレゾルフィンのレゾルフィンへの薬剤代謝速度を測定した。培養4日目にbcl-2発現株およびp35導入株は野生株に比べて約1.5倍〜約2倍の高い代謝速度を示し、crmA導入株は野生株と同程度の代謝速度であった。
以上の結果より、HepG2細胞においてアポトーシス抑制遺伝子の導入によって細胞死が抑制され、またいくつかの肝機能においてはその維持できる期間が延長されることが確認された。導入される遺伝子によっては一時的に活性を増大させることも示された。現在は機能の上昇と発現期間の延長が一層向上することを期待し、2種のアポトーシス耐性遺伝子が導入された細胞株の樹立を試みている。
同様の戦略で、糖尿病の治療を目指し、人工膵臓の研究も開始した。すなわち、ランゲルハンス島β細胞株にアポトーシス抑制遺伝子を導入している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] S.Terada, T.Kumagai, N.Yamamoto, A.Ogawa, J.Ishimura, T.Fujita, E.Suzuki, M.Miki: "Generation of a Novel Apoptosis-Resistant Hepatoma Cell Line"Journal of Bioscience and Bioengineering. 95・2. 146-151 (2003)

  • [文献書誌] S.Terada, T.Nishimura, M.Sasaki, H.Yamada, M.Miki: "Sericin, a Protein Derived from Silkworms, Accelerates the Proliferation of Several Mammalian Cell Lines Including a Hybridoma"Cytotechnology. (印刷中).

  • [文献書誌] S.Terada, A.Ogawa, N.Sakai, M.Miki, T.Fujita, T.Yata, T.Nagamune, N.Sakuragawa, E.Suzuki: "Apoptosis Inhibiting Genes and Caspase Inhibitors Improved Mammalian Cell Survival and Enhanced Protein Production"ACS Symposium Series. 830. 190-199 (2002)

  • [文献書誌] 寺田 聡: "絹タンパク質セリシンの動物細胞培養への有効性"バイオサイエンスとインダストリー. 60・10. 683-684 (2002)

  • [文献書誌] S.Terada, N.Yamamoto, T.Kumagai, A.Ogawa, M.Miki, T.Fujita, E.Suzuki: "Establishment of Novel Cell Line for Artificial Liver"Animal Cell Technology : Basic & Applied Aspects. 12. 201-205 (2002)

  • [文献書誌] A.Ogawa, S.Terada, M.Miki, K.Matsuura, A.Hoshika, N.Sakuragawa: "Human Amniotic Epithelial (HAE) Cells Produce Erythropoietin"Animal Cell Technology : Basic & Applied Aspects. 12. 309-313 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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