研究概要 |
(1)ナノ構造化ダイヤモンドの創製 ダイヤモンドを用いたナノ構造化材料の作製方法としては,次の2つの方法が挙げられる.一つは,(1)ナノ構造をもつ鋳型材料の内部へのダイヤモンド製膜により,鋳型の反転構造を作製する方法である.さらには,(2)細孔構造を持つフィルムを通して,材料表面をドライエッチングし,ナノ構造を2次元的に転写する方法がある.今年度において,(1)の手法により,ダイヤモンドナノ微粒子およびナノチューブを作製し,低品質ながら、ダイヤモンドナノチューブ作製に成功した.また,(2)の手法では、酸化アルミナと酸素プラズマエッチングを用い,ナノホールアレイをもつナノ構造化ダイヤモンド(ナノハニカムダイヤモンド)の作製に,既に成功している.そこで,このナノハニカムダイヤモンドの基礎電気化学特性とその電気化学アプリケーションに関する研究に集中した. (2)ナノ構造化ダイヤモンド電極の基礎特性とマイクロエネルギーデバイスの応用 1.サイズセレクティブセンサーの開発 ナノポアによる分子運動の抑制効果は,分子サイズによる電気化学反応制御の可能を持つ.ナノポア内部に,アミンとの共存下において電解発光反応を起こすルテニウム錯体を導入した.供給するアミン類の分子サイズを変化させ,その選択性を検証した.メチルアミンでは,ポアサイズ400nmのナノハニカム電極では,高い発光を示すが,アルキル基サイズをエチル,プロピルとすると反応性が低下した.ポア径を60nmとすると低下傾向は顕著になった.つまり,ポア幾何構造と分子サイズ制御によりサイズ選択的反応場の実現が可能である. 2.高エネルギー・高出力デバイス用ハイブリッド電極の開発 ナノハニカム電極は、Liイオンを含む有機溶媒に対しても、高い二重層容量を発現する。ナノポア内部にLiインターカレート材料であるカーボンナノチューブを導入することにより、電気二重層コンデンサーとLiイオンバッテリーの特性を併せ持つ新規ハイブリッド電極を創製した.この材料の放電可能容量は,894mAhg^<-1>とカーボンの理論容量(372mAhg^<-1>)を凌駕し、複合化による放電出力向上効果は1.5倍程度であることが確認された.ナノスケールで異種材料の構造をデザインすることにより、電気化学的機能をコントロールすることが可能である.
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