研究概要 |
本研究では、光非線形性結晶化ガラス材料の印加電圧に対する屈折率変化の測定から、光非線形性高機能ガラス系の探索と機能発現機構の解明を目的として、研究初年度は、バルク状ガラスを熱処理して得られる透明結晶化ガラスを対象とし、現有するMach-Zehnder干渉計の改良および顕微鏡下での測定系の構築を主たる研究として実施した。 1.Mach-Zehnder干渉計の改良 現有するMach-Zehnder干渉計におけるビーム径の縮小とレーザー強度の増大による空間分解能の向上を図ったが、結晶化ガラス試料、特に光非線形機能の高いものでは、散乱要因により干渉性が著しく悪く測定が困難であった。現在、(1)結晶化ガラスの組成および熱処理条件を再検討による透明性の向上、(2)プリズムカプラを用いた表面結晶層への光波導入、(3)顕微鏡下での電気光学効果の測定(EOM)を検討している。 2.顕微鏡下での測定系の構築 倒立型光学顕微鏡を新規に導入し、YAGレーザー照射による結晶化パターニング機構を備えた第2高調波顕微鏡(SHGM)を構築した。SHGMによる種々の結晶化ガラスの観察の結果、(1)BTG結晶化ガラスにおいて析出相の方位をSHGの偏光特性から特定した、(2)SiO_2:Ge薄膜の熱処理で得られる結晶化ガラスからのSHGは、析出するクリストバライト相近傍の残留応力の存在と関係することを明らかにした、(3)(Bi,Ln)BO_3系結晶化ガラスに析出する2相のうち非線形性の高いSHG活性相を特定した、(4)YAGレーザー照射によるβ-BBO相ラインパターニングにおける方位をSHGの偏光特性から特定した。 以上のことから、EOMの構築に加えて、SHGMを用いた析出相の非線形光学定数の微視的定量法の確立が今後の技術的課題として挙げられる。
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