研究概要 |
CH_3I-Ag_2Oによるペプチド化合物のN-メチル化反応を利用した生理活性環状ペプトイドの簡便合成法の開発を目指し、免疫抑制活性環状ペプトイド、シクロスポリンO(CsO, cyclo(D-Ala-MeLeu-MeLeu-MeVal-MeLeu-Nva-Sar-MeLeu-Val-MeLeu-Ala-))に関連した3種類の非メチル化アナログ(cyclo(D-Ala-Leu-Leu-Val-Leu-Nva-Xxx-Yyy-Val-Leu-Ala), (Xxx,Yyy)=(Sar,Leu)(1), (Sar,MeLeu)(2), (Gly,Leu)(3), (Gly,MeLeu)(4))及び関連ペプチドの液相合成及び立体構造解析について研究を行った。 1-4の合成は、まず11残基の鎖状ペプチドを段階伸張法とセグメント縮合法を駆使して高純度に合成し、これらをウロニウム系縮合剤であるHATUを用いて環化させて純粋な目的ペプチドを得ることに成功した。環化位置はAla-D-Ala間が最適であった。これにより当初の研究計画の通り非メチル化CsO合成の方法を確立できた。 また、CsO中のβ-turn形成部位(Nva-Xxx-Yyy-Val)のアミノ酸配列が構造に及ぼす影響を調べるためのモデルペプチドとして、1-4に対応する7残基保護ペプチドBoc-Leu-Nva-Xxx-Yyy-Val-Leu-Ala-OCH_2CCl_3 ((Xxx,Yyy)=(Sar,Leu)(5), (Sar,MeLeu)(6), (Gly,Leu)(7), (Gly、MeLeu(8))も合成した。^1H NMR及びIRスペクトルより、ペプチド6が天然CsOと同様のβ-turn構造を形成していることが明らかになり、MeLeu残基がturn構造形成に重要な寄与をしていることが示唆された。この知見に基づき、次年度は環状ペプチド2の構造解析及びN-メチル化反応を行う。
|