酢酸菌(Acetobacter xylinum)ATCC23769株のセルロース合成酵素遺伝子、およびATCC53582株のセルロース合成関連遺伝子のクローニング・シーケンシングを行った。両株におけるセルロース合成関連遺伝子の相同性を比較したところ、非常に類似していることがわかった。両菌株についてセルロース合成量を測定したところ53582株では23769株の約5倍の生産性を有していた。^<13>Cラベル化グルコースを用いた解析の結果、両菌株においてモノマー合成系に違いがあることが見いだされた。 既にクローニング済みであるβグルコシダーゼ遺伝子断片を用い、相同性粗換えによってβグルコシダーゼ遺伝子欠損株を作製した。野生株、欠損株を用いてセルロース生産性、また合成されたセルロースの構造における比較を行った。βグルコシダーゼ遺伝子の欠損によってセルロース合成量が約3分の1に低下した。シャトルベクターを用いてβグルコシダーゼ遺伝子の相補を行ったところ、βグルコシダーゼは回復するもののセルロース生産能の回復は見られなかった。両菌株で合成されたセルロースの構造には大きな違いは見られなかった。これらの結果からβグルコシダーゼがセルロース合成に直接関与している可能性が高く、セルロース生産能の回復の為には他の因子が必要であることが示唆された。 セルロース合成酵素遺伝子の上流に存在するエンドグルカナーゼ(CMCax)遺伝子をPCRによってクローニングし、大腸菌を用いてHisタグ融合タンパク質として大量調製を行った。精製タンパクを用いてキャラクタリゼーションを行った。CMCaxの分子量は35.6kDa、至適pHは4.5、最適温度は50℃、5糖以上のセロオリゴ糖を分解可能であり、反転型の水解機構を有していることが明らかとなった。
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