研究概要 |
分岐型(1→3)-β-D-グルコピラナンの合成を行うため、6位に選択的除去が可能な保護基を導入したモノマーを新たに合成し、トリイソブチルアルミニウム-水-アセチルアセトン系触媒を用いた重合を検討した。新規モノマーである1,3-アンヒドロ-2,4-ジ-O-ベンジル-6-O-(p-メトキシフェニル)-β-D-グルコピラノース(1)の合成は、グルコースから8段階の反応で合成した。グルコースから3段階の反応で得られるアリル3-O-アリル-D-グルコピラノシド(2)に、アゾジカルボン酸ジエチル及びトリフェニルホスフィン存在下、p-メトキシフェノールを反応させることによりアリル3-O-アリル-6-O-(p-メトキシフェニル)-β-D-グルコピラノース(3)を合成することができた(収率57%)。この後、1までの一連の合成は、1,3-アンヒドロ-2,4,6-トリ-O-ベンジル-β-D-グルコピラノースの合成と同様の手順で行った。なお、3から1までの5つの化合物は新規化合物である。 トリイソブチルアルミニウム-水-アセチルアセトン(1.0:0.40:0.80)触媒を用いた1の重合は、トルエン溶媒中、モノマー初濃度および触媒量をそれぞれ0.40mo1/L、5mol%として、60℃で48時間行った。重合体はヘキサン不溶部として93%の収率で得られ、^1H及び^<13>C-NMRの結果から、グリコシド結合がβ型にほぼ100%制御された2,4-ジ-O-ベンジル-6-O-(p-メトキシフェニル)-(1→3)-β-D-グルコピラナン(4)の構造を確認することができた。また、MALDI-TOF MSから4の末端構造は、2-ヒドロキシ-D-グルカールに由来する構造を含め複数存在することが判明した。
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