液晶エラストマーの構造と力学物性に見る液晶性と高分子性の融合

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14750705
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 戸木田 雅利 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30301170)
• キーワード: 主鎖型液晶高分子 / 液晶エラストマー / エラストマー / スメクチック液晶 / ネマチック液晶 / 折りたたみ鎖構造

研究概要

ビフェニルメソゲンをアルキル鎖で連結した主鎖型高分子を1,3,5-ベンゼントリカルボン酸で架橋し、スメクチック液晶エラストマーを得た。液体状態での初期弾性率から見積もられる架橋密度と合成時の架橋剤の仕込み比の良好な一致及び明確な相転移挙動の発現から、最適な架橋剤モル分率が2%であることを見出した。このエラストマーは液体状態、液晶状態で1000%程度延伸可能である。液体状態の延伸で、スメクチック液晶相が誘起されることを見出した。また、スメクチック液晶エラストマーは延伸により配向し、印加された歪みは液晶状態で保持された。歪みはスメクチック-液体相転移に伴い瞬時に解消する。
スチルベンメソゲンをアルキル鎖で連結した主鎖型高分子を1,3,5-ベンゼントリカルボン酸で架橋し、ネマチック液晶エラストマーを得た。このネマチックエラストマーを延伸1軸配向し、液晶温度領域で昇降温すると、配向秩序パラメータが保たれている範囲で20%可逆に伸縮した。この挙動は、液晶場における分子鎖の折り畳み構造がエントロピー効果により熱力学的に安定に存在するとすれば説明できるものであった。

研究成果

• [文献書誌] Okoshi, K., Tokita, M., Watanabe, J.: "Well-Defined Phase Sequence Including Cholesteric, Smectic A, and Columnar Phases Observed in a Thermotropic LC System of Simple Rigid-Rod Helical Polysilane"Macromolecules. 35. 4556-4559 (2002)
• [文献書誌] Fu, K., Tokita, M., Watanabe, J.: "Rigid-Rod Polyesters with Flexible Side Chains IX. Phase Behavior Including Nematic, Layered, and Hexagonal Columnar Phases in Poly(p-biphenylene terephthalate) with Alkoxy Side Chains"Polym. J.. 34. 291-297 (2002)
• [文献書誌] Chen, Z., Tokita, M., Miyata, S.: "The full-width at half-maximum of emission narrowing in electroluminescent device"J. Phys. D : Appl. Phys.. 33. 1643-1646 (2002)
• [文献書誌] Okoshi, K., Tokita, M., Watanabe, J.: "Smectic Liquid Crystals Observed in Thermotropic System of Rigid-Rod Poly(g-octadecyl L-glutamate)"Jpn. J. Appl. Phys.. 41. L720-L722 (2002)