電子集積能を有するフェニルアゾメチンデンドリマー(DPAs)誘導体を合成、物性の検討から各世代のデンドリマーにおける金属イオン(スズ、ユーロフィウム、テルビウム、鉄、金など)との段階的な錯形成挙動が明らかにした。これはデンドリマー内部のイミン部位の電子勾配に起因するものであり、内側や外側に電子吸引基または電子供与基を導入することにより、内側から外側へまたは外側から内側へとその錯形成過程を制御することが可能であることを意味する。また、これらのデンドリマーは優れた耐熱性および溶解性をもつながらその特徴的な球状構造であるため電子デバイス用の新しいナノ材料として適している。そこで本年度は、中心に金属錯形能を持つ環状のアゾメチンと外側にホール輸送性のカルバゾールデンドロンを導入した第3世代までのカルバゾールデンドリマーを合成し、キャスト法によりITO/Dendrimer(ホール輸送層)/Alq_3(電子輸送性発光層、蒸着法)/Al順となる二層型EL素子を作製し、デンドリマーの世代間、また金属錯形成によるEL素子の特性を評価した。デンドリマーの世代増加に伴い素子の輝度特性は向上し、第3世代デンドリマーを用いた素子においては、一般的なポリマー系のホール輸送材であるポリビニルアルコール(PVK)と同程度の素子特性を示した。さらに、ユーロフィウムイオンと錯形成した第3世代のデンドリマーをホール輸送層として用いることにより、30%以上の発光輝度の向上とTurn-on電圧が2Volt以上減少し優れたEL特性を示した。これは、中心のイミン部位がユーロフィウムにより錯形成されることによりホール輸送層のエネルギーギャップがさらに減少し、ITOからホールの注入効率が上がるためだと考えられる。
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