研究概要 |
研究初年度である本年度は、人工衛星の膨大な時系列運用データの中からシステム異常を早期発見する上で重要なパターンを抽出し、効果的に人間(専門家)に提示する手法の研究を行った。より具体的には以下の要素研究を行った。 1.全体の運用データを構成する各時系列信号データを、パターンの類似性に基づくクラスタリングに基づいて、より抽象レベルの高いシンボル系列に変換する統一的手法の開発。 2.各時系列信号データにおいて、周辺時刻との相違性が高いパターンを「外れ値パターン」として検出することにより、衛星システムに発生したイベントと関連性の高い信号パターンを抽出する手法の開発。 3.様々な形状的特徴を持つ各時系列信号データに対して、複数の時間的尺度の観点から「変化点」を検出し、その変化パターンを分類する統一的手法の開発。 4.上記の2,3により検出された各信号系列中のイベントおよび変化パターンの情報に基づき、異なる信号系列間の定性的な相関関係をルールとして抽出する手法の開発。 5.検出されたイベントパターン,変化パターン,およびそれらの関連性を強調することにより、膨大な運用データの中で特に重要な情報だけを効率的に提示する情報可視化手法の開発。 また、宇宙開発事業団より技術試験衛星7号の過去の運用データを借り受け、これを格納するデータベースシステムの構築と、前述の研究結果を適用し有用性を検証するためのプロトタイプシステムの構築を行った。これらの成果は、学術論文誌および国際学会などで発表されている。
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