研究概要 |
デトネーション伝播方向と垂直に濃度勾配を有する拡散濃度場において,デトネーション生成および伝播について実験的に調べた。デトネーション管上部に導入した混合気に対して,下方より希釈気体を拡散させることにより,濃度勾配を有する混合気を作成した。以下に得られた結果を記す。 1.濃度勾配計測 炭化水素系燃料が波長3.39μm付近の赤外光を吸収することを利用して,酸素と同程度の拡散係数を有するエタンを酸素の代替気体として取り扱った。黒体炉と赤外干渉フィルタの組み合わせにより,波長3.39μm付近の赤外光源を得て,透過光強度を赤外熱画像計測装置にて評価することでエタン濃度を求めた。その結果,水素-酸素量論混合気に酸素を,または水素に酸素を拡散させた場合は,時間とともに酸素濃度は単調に増加するものの,濃度勾配の値そのものは30秒までの試験時間内ではとくに大きく変化はしなかった。一方,水素-酸素量論混合気に水素を拡散させた場合,浮力の影響で時間とともに濃度勾配の大きさおよび向きが変動する濃度場が形成された。 2.デトネーション生成法 デトネーションの速やかな起動のため,エクスプローディング・ワイヤの直後に直径約6mm,長さ30mmのステンレス管を最密に束ねたマルチプル・チューブを設置した。これにより,管端から約70mmの地点においてデトネーションを起動させることが可能となった。 3.デトネーション伝播挙動 混合気濃度測定およびデトネーション管上面における速度測定結果より,デトネーションは局所当量比のCJ速度で伝播することがわかった。また,希釈気体の種類によらず,すす膜上で希釈気体側に見られるセルは比較的均一でかつ小さく,とくに拡散時間が短い場合は,デトネーションに由来する三重点が,希釈気体側に侵入した結果生じたと考えられる規則的な網目模様が得られた。
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