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2003 年度 実績報告書

イネ半矮性遺伝子sdlの単離及びその分子育種学的利用

研究課題

研究課題/領域番号 14760003
研究機関名古屋大学

研究代表者

芦刈 基行  名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 助教授 (80324383)

キーワードイネ / 緑の革命 / GA
研究概要

1960年代の「緑の革命」でも明らかなように、短桿品種の育成が穀物生産量を劇的に上昇させ当時の食糧危機を回避したように、短桿化や受光態勢等の草型と多収性は密接に連鎖している。この緑の革命に最も貢献した半矮性遺伝子sd1遺伝子の単離に成功したので、このSD1遺伝子を利用したアンチセンス法やドミナントネガティブ法を用いて遺伝子発現やその作用を改変し草型育種を進めた。
またSD1遺伝子は植物ホルモンのジベレリン(GA)合成酵素であることが明らかになったため、GAの分子遺伝学的研究を進めた。台中65号にガンマ線処理した後代(M2)から、GA関連変異体の特徴である濃緑葉を有する矮性変異体を選抜後、GAの感受性テストを行い多数のGA関連変異体を選抜した。その中で、極矮性を示すGA非感受矮性変異体gid2に着目した。gid2変異体ではGA3投与による第2葉鞘の伸長とα-アミラーゼの発現が全くみられなかった。また活性型のGA1が台中65号に比べ100倍以上蓄積するとともに、本来、情報伝達系を介して発現抑制を受けるGA生合成酵素C20酸化酵素の強い発現が観察されたことから、gid2変異体がGA情報伝達に異常を来していると結論した。また、恒性的GA反応変異体として知られるslr1 (slender rice 1)変異体との遺伝的上位性検定からslr1がgid2に対して遺伝的上位であることが明らかとなった。GA情報伝達におけるGID2の機能を明らかにするためにポジショナルクローニング法を用いてGID2遺伝子の単離を試みた。高精度連鎖解析の結果、GID2候補領域を13kbに特定し、野生型と6つのgid2 alleleにおけるこの領域の塩基配列を比較したところ、ユビキチンリガーゼ複合体(SCF複合体)のサブユニットであるFボックスタンパク質をコードする遺伝子内に塩基の欠失や塩基置換を見いだした。また野生型Fボックス遺伝子はgid2表現型を相補したことからGID2遺伝子はユビキチンリガーゼ複合体(SCF複合体)のサブユニットの1つ、Fボックスタンパク質をコードしていると結論した。これまでにユビキチンリガーゼ複合体(SCF複合体)がタンパク質の分解に関与していることが知られているが、茎葉伸長をはじめとするGAレスポンスはGAのシグナルが核に局在するGA情報伝達の抑制因子SLR1タンパク質を分解することによって引き起こされることが明らかにされている。gid2変異体では、SLR1タンパク質のGA依存的な分解は観察されず多量なSLR1タンパク質が蓄積していた。またGID2タンパク質がSLR1タンパク質と直接相互作用することを見いだした。これらの結果から、SLR1タンパク質はSCF^<GID2>複合体の標的分子であるとともに、SLR1を分解することによりGA情報伝達が下流に伝達されると結論した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] M.Kaneko: "Where do gibberellin biosynthesis and gibberellin signaling occur in rice plant?"Plant J.. 35. 104-114 (2003)

  • [文献書誌] Z.Hong: "A rice brassinosteroid-deficient mutant, ebisu dwarf (d2), is caused by a loss-of-function of a new member of cytochrome P450."Plant Cell. 5. 2900-2910 (2003)

  • [文献書誌] Sasaki, A: "A defect in a putative F-box gene causes accumulation of the phosphorylated repressor protein for GA signaling."Science. 299. 1896-1898 (2003)

  • [文献書誌] Takeda, T.: "The OsTB1 gene negatively regulates lateral branching in rice."Plant J.. 33. 104-115 (2003)

  • [文献書誌] 芦苅基行: "短桿を科学する"農業技術. 58. 33-37 (2003)

  • [文献書誌] 芦苅基行: "タンパク質分解を介したジベレリン情報伝達"生化学. 75. 1453-1456 (2003)

  • [文献書誌] Ashikari, M.: "Gibberellin signal transduction in rice"J.Plant Growth Regul.. 22. 141-151 (2003)

  • [文献書誌] Ashikari, M.: "Mutation in a gibberellin biosynthetic gene, GA20 oxidase, contributed to the rice Green Revolution."Rice science ; Innovations and impact for livelihood. 333-343 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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