研究概要 |
本年度は、昨年作成したダイズ(農林2号)未熟種子由来の完全長cDNAライブラリーから得られた、重複を省いた389クローンを選抜しマクロアレイを作成した。続いてこのマクロアレイシステムのテストを行うため、異なるステージのダイズ未熟種子(<5mm,5〜7mm,7〜9mm及び≧10mm)、葉、花、根からmRNAを抽出し、アンカーを介したRT-PCR法によりジゴキシゲニン(DIG)標識のcDNAプローブを作成し、ハイブリダイゼーションに用いた。この画像データをFAS-1000によりコンピュータ上に取り込み、画像解析ソフトImageQuantを用いて定量した結果、本方法はRIを用いた方法と同等の検出感度を持つことが明らかになった。また、発現量に変化が認められたもののうち56クローンを抽出してノーザンブロット分析により妥当性を検証したところ、5倍以上のシグナル強度の差を示したクローンについては、約85%のもので両方法での解析結果が一致した。そこで、主要な貯蔵タンパク質である7S及び11Sグロブリンが欠失した系統の解析を行った結果、リポキシゲナーゼ、オレオシン、FAD3といった脂質代謝関連遺伝子の一部について発現が有意に上昇してことが明らかとなった。 また、昨年から引き続き行っているDGATおよびFAD3遺伝子のRNAi誘導個体は、それぞれ数系統のハイグロマイシン耐性個体が得れたが、稔性が低く、殆ど種子が得られておらず、解析には至っていない。これらの解析を進めるためには、今後、ダイズの形質転換法の更なる改良が必要であると考えられた。
|