研究概要 |
本年度は昨年度に引き続き広義のペチュニア属の分子系統を調査した。新たにPetunia patagonica、最近の研究でペチュニアと近縁であることが明らかになったFabiana3種、外群として3種のナス科植物(Nicotiana acuminata, Iochroma australis, Nierembergia browallioides)を材料として2種類の葉緑体遺伝子間領域(matKを含むtrnK領域、trnT-L-F領域)の塩基配列を決定し、最節約法と近隣結合法により解析した。 Fabiana3種は単系統であり、Calibrachoaと姉妹群の関係になった。さらにFabiana+Calibrachoaが分岐群を形成し、狭義のPetuniaと姉妹群の関係になった。Petunia patagonicaはtrnK領域の分析ではFabianaの分岐群に含まれたが、trnT-L-F領域ではFabianaの姉妹群になった。この結果、P.patogonicaは狭義のPetuniaでもCalibrachoaでもなく、Fabianaの1種、または独立した単型属として扱うべきであることが判明した。 昨年度までに得られた分岐図には多分岐が多く、葉緑体だけでなく核DNAも分析すべきことが示唆されている。そこで、本年度は核DNAのITS領域とGBSS1の分析も開始した。しかし、ITSでは数塩基のindelを含む複数コピーの存在によってダイレクトシーケンス法では有効なデータが得られなかった。GBSS1では一部の塩基配列を決定したが、全配列を決定するにはゲノム配列中のpolyAを避けて新たなプライマーを設計する必要がある。
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