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2003 年度 実績報告書

高気温ストレス条件下における野菜類の光合成維持機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14760016
研究機関三重大学

研究代表者

名田 和義  三重大学, 生物資源学部, 助手 (40293807)

キーワード高気温ストレス / 光合成 / 炭素固定・代謝収支 / 環境ストレス耐性 / 根からの糖流出
研究概要

本研究は,高気温ストレス条件下において,過剰に生産された光合成産物を根から積極的に流出させることによって,光合成におけるフィードバック阻害が回避され,光合成機能が維持されるという仮説に基づいている.
昨年度は,高気温条件下における炭素固定・代謝と根からの糖流出の量的関係を明らかにした.すなわち,高気温によって光合成能力が維持されると同時に根から流出した可溶性糖含量が倍増したことを確認し,根からの糖流出が炭素固定・代謝のシンク・ソースバランスを良好に保つ機構の一つである可能性が示唆された.
本年度は,高気温条件下における根からの糖流出の重要性を確認することを目的に,キュウリに外生的に糖を点滴する処理を行い,高気温条件下における光合成速度および根からの糖流出量の変化について調べた.40℃の高気温条件下において,外生的にスクロースを与えた区(糖点滴区)の光合成速度は,与えなかった対照区とほぼ同じ値を示した.また,糖点滴区の葉の可溶性糖含量は対照区よりもわずかに高まる程度であった.しかし,28℃の常温条件下では,糖を点滴することによって葉の可溶性糖が蓄積するとともに光合成速度が著しく低下した.一方,培養液の可溶性糖含量は,高気温条件下では対照区に比較して糖点滴区で著しく高くなったが,常温条件下では,そのような現象は認められなかった.
以上より,キュウリには,高気温ストレス下での炭素固定と代謝のシンク・ソースバランスの悪化を回避するために,過剰な光合成産物を根から積極的に排出する機構が高気温によって誘導されることが明らかとなった.今後は高気温によるキュウリの根からの糖排出機構が何によってもたらされるのかを調査するとともに,このような機構が,その他の野菜類にも存在するかどうかを確認する予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Kazuyoshi Nada: "Impaired Photosynthesis in Cucumber (Cucumis sativus L.) by High Root-zone Temperature Involves ABA-induced Stomatal Closure and Reduction in Ribulose-1,5-bisphosphate Carboxylase/oxygenase Activity"J.Japan.Soc.Hort.Sci. 72(6). 504-510 (2003)

  • [文献書誌] Zhijun Li: "High-temperature-induced Alteration of ABA and Polyamine Contents in Leaves and its Implication in Thermal Acclimation of Photosynthesis in Cucumber(Cucumis sativus L.)"J.Japan.Soc.Hort.Sci. 72(5). 393-401 (2003)

  • [文献書誌] 名田和義: "ホウレンソウの成育および品質に及ぼす地温と地温の昼夜較差(DIF)の影響"園芸学会雑誌. 72(別2). 407 (2003)

  • [文献書誌] 上野友香: "キュウリ葉におけるプトレシン合成の高温遭遇による増大および光合成の高温順化におけるその意義"園芸学会雑誌. 72(別2). 369 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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