(1)キイチゴ属植物の自生種の探索および収集を行った。開花期および結実期に種を同定するため、秋田県内を中心に各地で探索を行った。自然環境保全法や自然公園法等で規制された地域に生育するものは、許可を得たうえで、探索・収集を行った。北日本地域には10種程度が自生していることが知られており、今年度はモミジイチゴを中心に各地から種子を攻集した。また、これまで見つけられなかった2種を収集することができたものの、研究材料として使用しうる数量を確保できていないため、今後とも継続的に収集を行う予定である。 (2)欧米で育成された栽培品種・系統を収集した。わが国で保有していない多様な種や栽培品種を輸入するため、米国農務省National Clonal Germplasm Repositoryから導入を図った。輸入には、植物防疫所の検疫に1年間を要し、今年度手元に届いたものは5品種であった。今後とも継続的に導入を進める予定である。 (3)分子系統分類のため、葉緑体DNAにあるrbcL遺伝子領域等3か所の領域についてPCRを行い、DNAの増幅断片を得た。これらの増幅断片のシークエンスを行った。今後は、最大節約法や近隣結合法等によって得られた系統樹を比較し、系統樹の正しさを評価する予定である。 (4)昨年4月に定植した個体(6種15個体)の樹体生育、生態的特性等の生育特性について評価した。自生種のクマイチゴおよびウラジロイチゴは、ほ場で生育させた揚合、品種と比べて同等の生育を示した。一方、モミジイチゴは、自生地での生育に比べると劣ったため、今後、その要因について調査する必要があると思われる。
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