病原菌接種、サリチル酸(SA)、ジャスモン酸(JA)、エチレン(ET)、アブシジン酸、パラコート、ローズベンガル、重金属、紫外線および傷処理において経時的にシロイヌナズナ完全長cDNAマイクロアレイを遂行し、得られた発現プロファイルをデータベース化した。これにより、約7000遺伝子の各処理間の発現プロファイルが瞬時に比較解析できると共に、遺伝子ファミリー間での発現プロファイルの解析などが可能となった。現在、バイオインフォマティクスの構築に向けて新たなデータベースを開発中である。また各処理において迅速かつ強く発現する遺伝子群を完全長cDNAとして保有し、そのプロモーター領域の配列情報と共にデータベース化を行った。 約7000遺伝子のマイクロアレイを用いて、Alternaria brassicicolaをシロイヌナズナColumbia wild-type (WT) (incompatible)とpad3-1 mutant (compatible)に接種したときの応答遺伝子について解析を行った。その結果、A. brassicicola接種で発現する689(WT)および191(pad3-1 mutant)遺伝子を得た。また両者により発現した遺伝子は146であった。これら遺伝子群について前記データベースを用いて解析を行い、各遺伝子の発現解析を行った。その結果、WTにおいて発現した689遺伝子のうち、SA、JA、ETおよび活性酸素種により発現する遺伝子は239、166、334、280であった。また、これらの遺伝子の多くは複数の処理により発現した。さらに、病原菌接種により強く発現した遺伝子のうち、50遺伝子について過剰発現体および発現抑制体を作製している。平成15年度には表現型の検定を行い、遺伝子の機能を明らかにする。
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