節足動物により媒介される植物ウイルスの伝搬機構の解析

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14760028
• 研究機関: 岡山大学
• 研究代表者: 近藤 秀樹 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (40263628)
• キーワード: 植物 / ラブドウイルス / 伝搬機構 / ダニ

研究概要

本研究は植物病原体であるウイルスと媒介者との相互作用を明らかにすることにより、ウイルス伝搬機構を理解することが最終目的である。本年度は、前年度に引き続き、研究材料であるランえそ斑紋ウイルス(OFV)のウイルス側遺伝子の解析と媒介者であるオンシツヒメハダニ体内からのウイルスタンパク質およびその遺伝子の正確な検出法の検討を行った。
1.ウイルスタンパク質の細胞内局在性:ウイルスがコードする遺伝子の植物細胞内での局在性について調査を行った。ウイルスベクターからGFPの融合蛋白質として各遺伝子を発現したところ、P蛋白質は核に強い局在性を示した。またNならびにM蛋白質は主に細胞質に存在した。38kDa蛋白質はそれらとは局在性が異なった。
2.ウイルス保毒ダニから、各ウイルス遺伝子、遺伝子産物の検出法について検討を行った。主要構造蛋白質であるヌクレオキャプシド遺伝子領域のPCRによる増幅と、その翻訳産物の検出が可能となった。
3.ウイルスの非伝搬系統の作出、分離には至っていないが、植物個体上で継代したウイルス株を調べたところ、おもにMならびに61kDa蛋白質のコード領域に若干の変異が認められた。この両遺伝子が伝搬性に関わるウイルス側因子であるかはいまのところ不明である。
現在、主要構造蛋白質のN遺伝子、ならびにM、61kDa蛋白質と相互作用するダニ宿主因子の検索のための準備を進めている。

研究成果

• [文献書誌] Kondo, H., Maeda, T., Tamada, T.: "Orchid fleck virus : Brevipalus mite transmission, biological properties and genome structure"Exp.Appl.Acarol.. 30. 215-223 (2003)
• [文献書誌] Hillman, B.I., Supyani, Kondo, H., Suzuki, N.: "N A reovirus of the fungus Cryphonectria parasitica that is infectious as particles and related to the Coltivirus genus of animal pathogens"Journal of Virology. 78. 892-898 (2004)
• [文献書誌] Andika, I.B., Kondo, H., Suzuki, N., Tamada, T.: "Virus resistance in transgenic plants expressing Beet necrotic yellow vein virus coat protein readthrough protein domain"Proc. Symp. 5th Int. Working Group on Plant Viruses with Fungal Vectors.. 84-87 (2003)
• [文献書誌] Chiba, S., Miyanishi, M., Kondo, H., Tamada, T: "Single amino acid changes in the P25 protein gene of Beet necrotic yellow vein virus are involved in resistance responses in Beta vulgaris spp. maritima."Proc. Symp. 5th Int. Working Group on Plant Viruses with Fungal Vectors.. 5-8 (2003)
• [文献書誌] Tamada, T., Miyanishi, M., Chiba, S., Kondo, H., Han, C.G.: "Pathogenicity and molecular variability of Beet necrotic yellow vein virus isolates from Europe, Japan, China and the United States."Proc. Symp. 5th Int. Working Group on Plant Viruses with Fungal Vectors.. 13-16 (2003)