研究概要 |
(1)Rubiscoを含む小胞(RCB)が形成される老化のステージ、生育環境の特定 コムギ第一葉を展開から成熟、老化そして枯死に至る過程で経時的にサンプリングし、葉の一生におけるRubisco量の変動とRCB形成の関係について定量的な解析を行った。その結果、RCBはRubiscoの分解が盛んな葉の老化初期に最も多く存在していた。この結果からRCBを介したRubiscoの葉緑体外への排出が葉の老化過程におけるRubisco分解の一端を担っている可能性が示唆された。またRubisco分解が大幅に促進される環境である暗処理下でのRCB形成について調べたところ、その出現頻度は自然老化の過程と同程度であった。暗処理下において、葉緑体のインタクトネスはRubiscoが処理開始前の20%に減少した時期まで保持されていた。このことより暗所下ではRCBを介した分解系に加えて、葉緑体内におけるRubisco分解系も盛んに働いていることが示唆された(Plant Cell Physiol.に投稿中)。 (2)Rubiscoの分解を担う細胞内プロテアーゼの同定 項目(1)の結果を受けて、暗所下でRubisco分解に関与する葉緑体プロテアーゼ活性の検索を行った。コムギ老化葉から葉緑体を単離しその破砕液を暗所下でインキュベートし、Rubiscoの分解活性の有無について調べた。その結果Rubisco大サブユニットをPhe-40とArg.-41の間で分解するプロテアーゼ活性の存在を見出した(Kokubun et al. 2002,Plant Cell Physiol.43:1390-1395)。
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