研究概要 |
(1)コリシンDの基質認識メカニズムの解明 tRNAのアンチコドンループに基づいて作成したminihelixと呼ばれる低分子基質をin vitro転写し、これを基質としてコリシンDの認識する基質塩基の同定を行った。ここでは、コリシンD全長ではなく、コリシンDの活性ドメイン(D-CRD)を用いた。この結果、32位と36位がそれぞれC,Gであることが認識に必須であることが分かった(塩基のナンバリングはtRNA全長に基づく)。また、33位と38位がそれぞれU,Aである時に、基質のコリシンDに対する感受性は上昇するが、これらの塩基は必須でないことが示された。 (2)動物および植物培養細胞内でのコリシンE5およびDの発現 コリシンE5の活性ドメイン(E5-CRD)をサイトメガロウイルスプロモーターにより動物細胞内で発現するプラスミドを構築した。このプラスミドでは、Internal Ribosome Entry Site(IRES)よりGFPが共発現するようになっている。このため、プラスミドの導入に成功した細胞においては、GFPによる発光が観察される。このプラスミドを動物細胞に導入し、細胞内で一過的にE5-CRDを発現させた。その結果、E5-CRDを発現しないプラスミドを導入した細胞においては、GFPの良好な発光が見られる一方、E5-CRDを発現するプラスミドを導入した細胞では、GFPの発光が全く観察できなかった。このことから、細胞内でのE5-CRDの発現により、生育阻害、もしくは細胞致死が引き起こされていることが示唆された。現在、E5-CRDの発現による細胞内環境の変化について、更に詳細に解析中である。
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