研究概要 |
メタノール資化性酵母Cadida boidiniiにおいて、メタノールにより強力に誘導発現されるアルコールオキシダーゼ遺伝子(AOD1)とジヒドロキシアセトンシンターゼ遺伝子(DAS1)のプロモーターの各種誘導基質に応答する領域(cis-element)を特定した。AOD1プロモーターはメタノール、ホルムアルデヒドだけでなくさらに下流の同化代謝産物であるジヒドロキシアセトンやグリセルアルデヒドによって誘導される。AOD1プロモーターの様々な領域の欠失解析を行ったところ、主にメタノール、ホルムアルデヒドに応答する領域(UAS1)と主にグリセルアルデヒドに応答する領域(UAS2)の存在を確認した。一方メタノールとホルムアルデヒドによってのみ誘導されるDAS1プロモーターの欠失解析により、両誘導基質に応答する3つの領域(methanol response element : MRE1,2,3)を特定した。現在これらの領域に特異的に結合するタンパク質(trans-activator)を核抽出液を対象とするゲルシフトアッセイによって探索している。 またgene-tagging法を用いてメタノール資化性酵母Pichia pastorisにランダム遺伝子挿入変異を行い、メタノールに生育できない変異株を取得し、変異原因遺伝子を特定している。メタノール代謝関連酵素やペルオキシソーム形成因子など既知の遺伝子に加え、グルコース抑制・脱抑制に関与する転写制御因子やシグナル伝達に関連する遺伝子をはじめ多数の機能未知遺伝子を取得しており、現在これらの遺伝子の機能解析を行っている。
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