S.cerevisiaeからのenoneレダクターゼの精製とコードする遺伝子の同定 S.cerevisiaeからketoisophoroneを還元してlevodioneを与える酵素enoneレダクターゼを陰イオン交換、疎水相互作用などの各種クロマトグラフによって完全精製した。精製酵素を部位特異的タンパク質分解酵素で切断し、各ペプチド断片を高速液体クロマトグラフを用いて単離・精製した。得られたフラグメントのアミノ酸配列をプロテインシーケンサを用いて解析した。その結果、S.cerevisiaeのenoneレダクターゼはOld Yellow Enzyme 2(OYE2)であることが明らかになった。この情報をもとにS.cerevisiaeのゲノムデータベースから、本二重結合還元酵素をコードする遺伝子の同定を行い、本遺伝子がOYE2であることを明らかにした。 Enoneレダクターゼの大腸菌中での発現 S.cerevisiaeのゲノムDNAをテンプレートにしてPCR法によってOYE2遺伝子を増幅した。この増幅断片を大腸菌中でtacプロモーターの制御下で各種の遺伝子発現が可能なベクターpKK223-3に連結した。DNAシーケンシングでPCRによるミスマッチ変異などが無いことを確認した後、本酵素の大腸菌中での発現を行った。培養条件を検討したところ、本酵素はカザミノ酸を添加した最少培地中、30℃で培養した場合に良好に発現することが明らかとなった。これら検討の結果、本酵素遺伝子の効率的発現条件を決定できた。またS.cerevisiaeのゲノム上にはOYE2のホモログであるOYE3遺伝子も存在する。このOYE3遺伝子も同様にして大腸菌中で発現させたが、ketoisophoroneを還元する活性は低い物であった。したがって、OYE2がketoisophoroneの還元に適していることが明らかになった。
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