人工的の作成したコレステロール酸化物を0.5%含む食事を実験動物(ラット)に与えた後にコレステロール代謝攪乱作用を確認した結果、肝臓のHMG-CoA reductase活性ならびにcholesterol 7α-hydroxylaseの発現蛋白質レベルはコレステロール摂取群と無コレステロール食摂取群よりも低くなった。さらに、各mRNAレベルも同様の傾向を示した。すなわち、コレステロール酸化物が誘発するコレステロール代謝異常は脂質代謝酵素の活性そのものに対してではなく発現に対する阻害効果が最も大きな原因であることが予測できた。さらに、肝臓のDNA断片化を引き起こすとともに、比較的高い肝臓障害誘発作用も併せて見出すことができた。 一方、酸化変性リポ蛋白質に見出されるコレステリルエステル由来の酸化物の分解物であるアルデヒド類の細胞障害作用、すなわち、細胞の脂質代謝攪乱作用を調べたところ、マクロファージに対して、シクロオキシゲナーゼ活性を亢進させてPGE2の産生を促進させて炎症反応を誘発すること、動脈内皮細胞に対しては、同様にシクロオキシゲナーゼ活性を亢進させてプロスタサイクリン産生を促進させてエイコサノイドバランスを崩して動脈硬化発症を誘発しやすい環境を作り出す攪乱作用を確認した。
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