平成14年度は、緑茶の抗炎症・抗アレルギー作用の評価、活性成分の同定、関連物質の作用比較を行った。 まず、複数の実験系を用いて、緑茶の抗炎症作用、抗アレルギー作用の有無を調べた。ICRマウスに緑茶を経口投与すると、ロムルチドとOK-432により誘導される血中TNF-α(tumor necrosis factor-α:炎症性サイトカインの1種)産生が抑制された。また、ICRマウスへの緑茶の経口投与は、急性炎症性耳介浮腫(アラキドン酸誘導耳介浮腫、TPA誘導耳介浮腫)およびアレルギー性耳介浮腫(オキサゾロン誘導耳介浮腫)を抑制した。これらの知見より、緑茶に抗炎症・抗アレルギー作用があることが示された。 次に、緑茶の活性成分を検討した。緑茶を溶媒分画すると、上記の全ての活性はクロロホルム画分に回収された。クロロホルム画分にはカフェインが分画され、また純粋カフェインにもこれらの活性があることが確かめられたので、緑茶の抗炎症・抗アレルギー活性はカフェインによるものと推測された。一方、緑茶からカフェインを除去した画分には免疫能を向上させる作用が見られ、さらなる解析により、カテキン類の作用である事が明らかになった。すなわち、緑茶には免疫能を向上させる成分と、過剰な免疫反応から生じる炎症・アレルギーを抑制する成分の両方を含有するが、緑茶として飲用した場合には炎症・アレルギーを抑制する作用が現れることが示唆された。 さらに、カフェインに構造が類似する薬剤(キサンチン誘導体:キサンチン、テオフィリン、テオブロミン、ペントキシフィリン)の作用を調べたところ、キサンチンとテオフィリンにも同様の活性を認めた。活性の強弱と構造を比較すると、1位のメチル基が抗炎症・抗アレルギー活性を強めるが、7位のメチル基は逆に活性を弱めることが推測された。
|