研究概要 |
林内の光環境を推定する上で、全天空写真は有効なデバイスの1つである。最近,専用の魚眼レンズを搭載できる安価なデジタルカメラが(株)ニコンより発売された。デジタル全天空写真は写真の現像と画像のスキャニングに要する時間,費用および労力を省力させる。しかし,デジタル全天空写真による林内光環境の推定方法は,いまだ碓立されておらず,実用のレベルには至っていない。本研究の目的は,デジタル全天空写真による林内光環境の推定方法を確立することにある。 まず,(株)ニコンの内部資料に基づいて,専用の魚眼レンズにおける画角と歪みの補正方法を開発した。魚眼レンズの歪みを補正する式を得るために,全天空写真画像の半径で正規化した天頂距離と現実天頂角との関係を多項式近似した。また,この多項式によって補正された天頂角が90度を超える部分を解析から除外することによって,魚眼レンズの画角も補正できた。 次いで,歪みと画角の補正の有無,画質,面像サイズおよびカメラ機種の違いが光環境の推定値に及ぼす影響を解析した。その結果,デジタル全天空写真によって光環境を推定する際には,魚眼レンズの歪みと画角を補正した方が良いと考えられた。また,保存に要するメモリの最も小さいBasic画質,VGAサイズ画像が,デジタル全天空写真の撮影において最適であることが示された。加えて,カメラ機種によって光環境の推定値が異なったことから,今後の研究では用いたカメラ機種を明記する必要があると考えられた。
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