研究概要 |
本年度は以下の研究を行った. 1.これまで厚さ40μmのPVDFフィルムを積層化することによって感度を高める方法を利用していたが,厚さの異なるPVDFのAE検出特性を検討した結果,厚さが200μmのフィルムを使用することで,積層化したフィルムよりも高感度で,さらにノイズの影響を受けにくいセンサを作ることができた.このPVDFフィルムを使用したシロアリ食害AE検出用のセンサを作成し,基本的性能についての研究を行った. 2.作製したPVDFフィルムを用いたAEセンサを,その形状を生かして,2本の木材試料に挟み込んで,シロアリの食害活動をモニタリングする餌木として試験を行った.これは近年日本でも広まりつつあるベイト工法において,モニタリング・ステーション内に詰め込んだ餌木へのシロアリの侵入を,防除技術者が定期的に目視によって点検する手法に代わって,PVDFフィルムを挟み込んだ餌木へのシロアリ食害を検出する手法を試みた.その結果,従来使用していたAEセンサと比較した場合でも,ほぼ同等の数のAEを検出することが可能であり,今後実際のベイト工法を行っている現場において,長期的なモニタリング試験を行い,PVDFフィルムの有効性について検討していく. 3.住宅で使用される木材あるいは木質材料内のAE伝搬特性をPVDFフィルムを用いて検討し,住宅内でのシロアリ食害の検出の最適化をはかることを試みた. 4.シロアリの振動に対する忌避反応行動を解析するため,昆虫マイクを用いて,シロアリが木材をかじる時の振動や走行する際の振動を計測し,CCDカメラで撮影した映像と対応させることによって,シロアリの活動について検討した.
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