本研究は、食品廃棄物と畜産糞尿のそれぞれについて、(1)その大量発生メカニズムの整理。(2)リサイクル事例の実態と課題の検討。(3)食品リサイクル法と環境三法の検討、を踏まえた上で、(4)食品廃棄物対策と畜産糞尿対策の矛盾と整合化について検討する手順を踏む。 本年度は、食品廃棄物に焦点を絞り、リサイクル事例の検討を、供給側と需要側との関連で分析を行った。また、次年度にむけて、補足的な畜産廃棄物対策の事例についても調査研究を行った。 本年度に得られた知見は、以下の通りである。 1.法制度については、食品リサイクル法についての制度的検討を行い、食品リサイクル法の今後の課題について解明した。 2.食品廃棄物のリサイクル事例を検討することをとおして、実際のリサイクルの取り組みでは、食品廃棄物を単独でリサイクル事例は少なく、畜産糞尿やその他の農業廃棄物も含めてリサイクル処理を行っており、食品廃棄物と畜産糞尿対策を別々にとりあげることには大きな問題があることを明らかにした。 3.さらに、地域にはこの他にも多数の農業・食品関連廃棄物が存在し、これら複数の品目のリサイクルの調整が必要であることを明らかにした。 4.食品廃棄物のリサイクルにおいて最も大きな課題は、リサイクル施設の投資問題とランニングコストの負担問題であり、リサイクルのためには膨大な費用が発生する。そのため、これら費用を誰が負担するのかという問題があることを明らかにした。
|