研究概要 |
本研究の課題は,リスクモデリング理論と選好評価手法の融合を図り,食品リスクに対する人々の選好を抽出する手法を開発することである.そこで本年度は,昨年度開発したニューラルネットワークロジットモデル(NNLogitモデル)のDCTCM及び完全ランキングヘの適用を図り,その拡張性を示した.また,リスクモデリング理論における期待効用理論及びリスク下の価値関数,さらにフレーミング効果を,選好評価手法に融合させる理論を構築した.具体印には,以下の通りである. CE,DCTCM,完全ランキシグにNNLogitモデルを適用した場合の効用値の推定精度を比較した.その結果,選好に関する情報量の多い完全ランキングに適用した場合が最も推定精度が高く,DCTCMが最も低かった.一方,通常のロジットモデルを適用した場合を比較すると,完全ランキングが最も高かった.さらに,これらの結果を比較すると,通常のロジットモデルでの推定精度が高い完全ランキングでは,NNLogitを適用することによる効用値推定上のメリットがあまりなかった.また,NNLogitモデルにより,効用の推定精度が低いプロファイルが観察された.これらのプロファイルは,アンケートに用いなかったプロファイルや効用値が極端に大きいものであった.この原因としては,ニューラルネットワークの過学習と最尤推定段階においてアンケートに用いたプロファイルに特化してしまったことであった.
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