研究概要 |
日本,アメリカ両国において,本年度に予定していた予備調査を実施した。両国で,専門家から特徴的,といわれる直売所を訪問し,専門家,直売所経営者に対するインタビューを行い,来年度実施する本調査に向け,参考となる多くの知見が得られた。 まず,日本国内においては,それぞれの直売所の経営形態により,その活動や経営状態,したがって個別経営や地域経済に与えるインパクトが異なることが明らかにされた。それは,来年度の調査の重要な要素となるだろう。また,調査により明らかになった経営形態および経営段階による経営行動の違いに関する考察は,一部すでに平成14年10月の日本農業経営学会で報告した。 アメリカにおいては,直売所が多く存在するといわれる西海岸のカリフォルニア州,ワシントン州において20を超える直売所調査を実施した。専門家及び経営者,出荷者へのインタビューを行い,アメリカにおける農産物直売施設(ファーマーズ・マーケット)の概要を調査することにより,ファーマーズ・マーケットの一般的概要や現状が明らかになり,調査表作成のための重要な情報が得られた。特にオリンピアのマーケットで,理事会を傍聴する機会を得られたことは,アメリカのファーマーズ・マーケットの抱える問題点や課題を理解する上で非常に重要であった。 さらに,いくつかのファーマーズ・マーケットはスクールランチ・プログラムや,フードスタンプ・プログラムと連携し,地域コミュニティの経済や福祉に大きく貢献しているという興味深く,かつ日本の直売施設にとって示唆に富む実態が確認されたことは,来年度本調査の調査表作成の重要な参考資料となる。
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