本年度は特に海外調査を中心に展開した。具体的には中国の代表的な産地市場である山東省寿光市場について、他の科研費調査を合わせて計3回の調査を実施し、中国における青果物流通の近年の変化について分析を進めた。 その結果、次の諸点が明らかになった。すなわち、(1)中国国内において青果物の広域流通が大きく進展していること、(2)その中で寿光市場も地場産野菜のみを扱う純粋な産地市場から、全国の産地から集荷し再び全国へと再転送する集散市場へとその性格を変化させていること、(3)地場野菜の集荷については、かつて寿光市場の「衛星市場」と呼ばれた郷鎮営の市場群が産地市場として大きく成長し、寿光市場に代わって中心的な役割を果たすようになってきたこと、(4)寿光市場のこうした機能変化のなかで、同市場内で移出商の依頼を受けて出荷者との取引を仲介していた取引代理人も、地場産野菜を求めて郷鎮営の諸市場に活動領域を広げつつあること、等である。 また、ポーランドにおける卸売市場の研究を行い、量販店が西欧から進出して零細な小売店が打撃を受ける中、ロジスティクス部を設置し、生産者への技術指導などを実施しながら量販店への配送を円滑化し、取扱高を維持、拡大している事例(ヴィエルコポルスカ市場、ポズナン市)を分析した。
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