研究概要 |
本研究は、森林山地域における融雪水の移動過程や融雪流出機構を明らかにして、適切な積雪・融雪管理モデルを構築することを目的にしている。本年度の主な検討課題は、試験流域(A=19.45km^2)における寒候期(12月〜5月)での水文特性を評価することであって、得られた成果は次の通りである。 (1)融雪最盛期における流出量と河川水温の各水文量には24時間周期に類似した成分が含まれている。 (2)寒候期の流出量には、持続性の強い流出成分の割合が暖候期のそれよりも卓越している。 (3)融雪期における流量ハイドログラフ逓減部は、逓減係数0.018d^<-1>を有する融雪流出成分に、より早い逓減特性(逓減係数0.015h^<-1>)を有する晴天日の日融雪流出が出現し上乗せされて流出している。 (4)積雪環境の相違が融雪期直前の積雪水量の多寡に影響を与えている。 (5)融雪期における総流出量が年間総流出量に占める割合は、約40%程であって、その比率は積雪寒冷地での60%に較べてかなり低い。それでも融雪流出が河川酒養に果たす役割の大きさが理解できる。 なお、本年度の成果の一部は農業土木学会論文集(No.228)に掲載された。また、「Seasonal snowpack dynamics in a cool temperate forest : lysimeter experiment in Niigata, Japan」と題して、Hydrological Processesに発表予定である。
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