研究概要 |
本研究は、森林山地域における融雪水の移動過程や融雪流出機構を明らかにして、適切な積雪・融雪管理モデルの構築に向けた水文情報の抽出と診断を目的にしている。最終年度に当たる本年度は、初年度からの作業計画を踏襲しつつ、これまでの成果を総合して、適切な積雪・融雪管理モデル確立のための水文情報を整理することに眼目を置いている。得られた成果は、次のとおりである。 (1)試験流域(A=19.45km^2)における寒候期(12〜5月)の降水量の割増係数としては、試験流域の近傍に位置するアメダスデータの1.5倍が妥当である。 (2)Degree-day法を改良開発した積雪融雪モデルの適用が上首尾であった。 (3)試験流域での算定最大流域積雪水量は,900〜990mmほどであって、各年とも2月下旬〜3月上旬に生起している。 (4)高度当りの積雪水量の増加割合は、2mm/mほどであって、日本の山岳地域における平均値(1mm/m)よりも大きい。 (5)最大日融雪量は55〜65(mm/d)であって、豪雨出水に匹敵する。 (6)融雪の早期化は渇水時期を早めている。 なお、「Forest influences on seasonal snowpack dynamics and runoff」と題したワシントン大学とカリフォルニア大学のセミナーで、成果の一部が披露された。
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