研究概要 |
水稲作付面積の高精度推定手法の確立を目的として,人工衛星データと圃場ひとつ一つが識別可能な圃場区画ベクトルデータを組み合わせた面積集計手法(圃場ベクトルデータ参照手法)を前年度提案した.この手法は,圃場が水稲作付け圃場であるか否かを人工衛星データにより判別し,水稲作付け圃場の面積集計を面積情報の正確な圃場ベクトルデータにより行うことで,圃場規模の小さい地域においても高い面積推定精度の達成をねらうものである.本年度は,圃場ベクトルデータ参照手法を地上分解能が15mおよび30mの異なる複数の光学人工衛星データに適用し,水稲作付面積の推定を行った.同時に,従来行われている画素単位の面積集計手法による集計結果との比較検討を行った.比較検討結果により,従来の画素単位集計法に比べ圃場ベクトルデータ参照手法が高精度の推定手法を達成可能であることが確認され,圃場規模の小さい地域においても,圃場ベクトルデータ参照手法を用いることで,地上分解能が30m程度の人工衛星データから高精度の水稲作付面積の推定が可能であることを示した.地上分解能が30m程度の人工衛星データは現在複数利用可能であることから,圃場ベクトルデータ参照手法により,より多くの人工衛星データを水稲作付面積推定業務に利用可能となることが期待される. 本年度後半は,人工衛星データを利用した水稲作付面積の早期高精度推定手法の開発を試みた.人工衛星データとしては,光学センサーデータが取得不可能な梅雨時期においても地表面の観測可能な衛星レーダデータを利用した.圃場ベクトルデータ参照することで,水稲移植時期の圃場が湛水しているか状態を圃場一筆単位で判別する手法により水稲作付け圃場の判別を行った.判別結果と複数の現地撮影写真による判読結果を比較したところ非常によい結果を得,衛星レーダデータによる水稲作付圃場の判別手法の可能性を見出した.
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