高い引張及び圧縮強度を持つセメント複合材「フェロセメント」と言うものは自然斜面の保護や土構造を守ることにおいて適していると考えられる。それを有効利用する上で、フェロセメント表面〜土間のせん断挙動についての詳細な知識が必要と思われる。本論文で、フェロセメントパネルの表面強度特性を調べるためにフェロセメント表面〜土間のせん断挙動に関する研究を行った。異なったせん断速度で砂質土及び粘性土に対して四段階垂直応力の下で凹凸の有無のフェロセメントパネルを実験した。せん断応力〜ひずみ関係及びフェロセメント〜土間のせん断挙動即ち粘着力と内部摩擦角を実際の設計、施工に使用できるように種々のチャートと図に表わした。結果的には両土における凹凸パネルの表面摩擦力と粘着力が平面パネルのそれより大きいこととせん断速度の増加につれてフェロセメント〜土間のせん断強度は減少することが明らかとなった。 補強土構造の全体的な性状は言うに及ばず土中に埋め込んだ補強材の引き強度に対して土の含水比が重要な影響を与えることはよく知られている。その点で載荷状態にある種々のタイプの補強材の引き抜き強度について含水比の変化による効果を定量的に把握しておく必要がある。土〜補強材間の相互作用と含水比との関係を知るために、垂直応力を変化させた一連の引き抜き実験を行った。補強材として3mm間隔で径0.8mmの正方形ワイヤーメッシュを用い、引き抜き強度に関するパラメータとして土の粘着力とせん断抵抗角を測定した。結論として、補強材の引き抜き強度と土の含水比との間に強い相関性が見られ、含水比の増加とともに粘着力、せん断抵抗角成分が減少していく傾向が明らかとなった。
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