本年度は3年の研究計画の内初年度にあたり、以下の事項について研究成果を豊た. 【1)オンサイト分析法の開発】UM-FIA法では現地採水・実験室分析を前提としたコンティニュアス分析を提案者である石井らは提案しているが、(1)2週間という長期間では試料の変質が危惧されること、(2)コンティニュアス分析のみでは検出器のベースライン変動の影響が取り除けないこと、の2点が問題となることが明らかになった。このため、申請者が開発し、すでに山林流域で駆動している自動採水機とUM-FIA分析部を組み合わせて連続音サイト分析に利用するのが現実的であることが明らかとなった。すでに室内実験での24時間の検証は終わっている。 【2)送液方法についての検討】研究当初はキャピラリー管での送液をシリンジポンプで行うことを前提としていたが、2週間の運転にはポンプ1台につき190Ahの電力を確保せねばならず、現実的でない。このため、電力を要しない「重力注入法」による送液について検討している。これは毛細管中のポアズイユの法則を利用して、水頭差によって送液を行うものである。UM-FIAの必要試料・試薬量が1μL/分のオーダーのため、底面積の大きな容器を用いれば2週問での水頭差の変化を小さくでき、十分な精度で送液を行うことができる。単管での連続送液試験は完了し、送液抵抗となるコネクターでの水頭損失の評価と希釈・混合テストも終了している。ただし、コネクター数を2個以上した場合の分析流路の構成に工夫が必要で、現在も検討中である。 【3)現地観測に向けてのその他の検討】(1)発光ダイオード式吸光光度計の消費電力・性能試験を行い、2週間観測に十分な性能を示した。(2)現地での試薬の保存と劣化が問題となるので・窯内で検証を行ったが、アンモニア・亜硝酸・溶存ケイ酸については2週間程度なら十分精度良い観測が行えることをした。
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